はっぴいえんど『はっぴいえんど』-店名についてなぞ

レコード棚#1

「ゆでめん」とも呼ばれる名盤。1970年、はっぴいえんどのファーストアルバム。セカンド『風街ろまん』と比べるとなかなかざらざらしていて、時代を思わせる暗さ、むき出しの感じもあります。店を開いたのが2020年で、ちょうど半世紀なんだなあとその時思いました。

 店名の由来について度々訊かれることがあるので、ちらっと記しておこうと思います。匿しておきたい気持ちもあるけれど、書いておかないと自分自身忘れてしまいそうなこともあり。

 このアルバムに三番目に収録されているのが「しんしんしん」なのです。作詞:松本隆、作曲:細野晴臣。「都市(まち)に積もる雪なんて汚れて当たり前だという そんな馬鹿な 誰が汚した」とうたう冬の曲です。よければ聴いて、歌詞を調べていただきたいのですが、自分は雪を汚す者でもあると同時に汚れた雪の一部でもある、そう歌っているような気がします。だから、雪の音である「しんしんしん」が罪sinの音に聴こえてしまうのです。都市に生きている限り、あらゆる意味でわたしたちは罪を犯し続け自分自身を損ない続けている。大袈裟に言えば、世界を汚し自然を破壊することに加担し、誰かを搾り取るような経済システムに加担し、他者を偏見や利害で峻別したり、独善的な感情や価値観を押し付ける、そういったことから完全には免れ得ない都市の中を生きている。けれどもその生活の中には「其の時ぼくは見たんだ もっと深く韻(ひび)く何かを」という瞬間もまた内包されている。都市(まち)の真夜中に、そんな沈黙する雪の声に耳を傾けるような、心を研ぎ澄ませるような場所をつくりたいと思ったのです。

 さて、「ゆでめん」はファーストということもあって粗い感じも目立つし、「飛べない空」「敵タナトスを想起せよ!」「あやか市の動物園」など攻撃性のある曲も含まれています。完成度では「風街ろまん」に軍配が上がるかもわかりませんが、このあたりの陰影が好きという方も少くないのではないでしょうか。「あ〜や〜かし おそろし〜や〜」とか、まず変てこで面白いと思います。

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