Keith Jarret Quartet “My Song”

レコード棚#5

 キース・ジャレットを聴くと、ジャズというより「音楽」を耳にしている気がします。それだけジャンルや慣例的妥協を感じさせない、歴史や人格を越えた純粋な響きがあるということでしょうか。すごく独特な人物ではあると思うのですが、演奏を聴き入ると浮かび上がってくるのはその人の性格や感情、時代背景、ジャンルや系譜というより、「音そのもの」であるようなイメージ。

 この人はソロと並行して、だいたい70年代の前半は「アメリカン・カルテット」、後半は主に「ヨーロピアン・カルテット」、80年代は「スタンダーズ・トリオ」として活動の形を変えてきたみたいです。このアルバムは77年の録音でいわゆる「ヨーロピアン・カルテット」の演奏。

 そのメンバーの中でも特にヤン・ガルバレクのソプラノ・サックスが透明で清澄なトーンを際立たせています。割と伸びやかで甘いメロディの曲が多いけれど、俗っぽくない。生命がかすかに産声を上げるかのような静かなダイナミズムや、大地の胎動みたいなものを感じる、、、かも。

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